2014年7月に販売開始した本マンションは、駅徒歩2分・高台・静かさ・敷地の広さなど、優れた立地の条件を兼ね備え、平均坪単価390万円台で2015年4月には総戸数107戸を早々に完売しました。
ところがその5か月後の2015年9月に東京都建築審査会が建築確認の執行停止、同年11月には同審査会が建築確認を取り消しました。買主は本マンションに住むことが不能となり、分譲価格の2割分が違約金として各買主に支払われ、契約は解除となりました。
法令上、マンションでは火災や災害時に屋外に出られる避難階を設ける必要があり、審査では1階の大型駐車場が避難階と認められるかが争われました。建築審査会は、駐車場と地上との高低差が2.5メートルもあり、直接の通路が車用のスロープしかないことなどから、「避難時に有効に機能するとは認められない」と指摘し、避難階段などの設置を求めた都建築安全条例違反と判断したものです。
事業主であるNIPPOと神鋼不動産はこの裁決を不服として提訴していましたが、本年5月24日、東京地裁は都建築審査会の裁決に誤りはなかったとしてこの訴えを棄却しました。事業主はこの判決を不服として本年6月6日に東京高裁に控訴しています。
都建築審査会の執行停止以降マンション工事(竣工直前)は止まったままで3年が経とうとしていますが、訴訟が決着をみるまではこのままの状態で時だけが経過していくのでしょう。
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